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イラストレーター・加藤直之氏による
「ドリーム細胞」
イラストレーター・加藤直之氏による 「ドリーム細胞」
1月から、SF作家 藤井太洋氏、イラストレーター加藤直之氏、株式会社東芝 CPSxデザイン部と当社のエンジニアがコラボし進めていた SFプロトタイピング。(SFプロトタイピングのレポートはこちら)
加藤氏には、このSFプロトタイピングのワークショップ参加者が導き出した6つの「未来の世界」の中から「ドリーム細胞」の世界を選び、イラストにしていただきました。
このイラストを8つの部分に分け、加藤氏のコメントを「ドリーム細胞」の世界の舞台設定を形づくるキーワードとともにご紹介します。ぜひそれぞれを拡大してじっくりとご覧ください。
「ドリーム細胞」の世界とは?
細胞の進化・革新により、すべての生命、生物がお互いに好影響を及ぼし合う世界。ドリーム細胞は、意思を持ち自己増殖できる上、再プログラミングも可能なため、これを使い長期間人工的な処置を施す必要のない持続可能な建築物を生み出すことができる。さらに、ドリーム細胞を使うことで人体の魔改造が可能になったり、生命体を自由な作り替えも実現することができる。
その世界の日常や暮らし:
海洋・宇宙にも人が住んでいる
都市の基部(アンカー・バランサー)は水中にあり、浮力によって都市の中心部分は海面ではなく、少し高いところに位置する。都市の中心部分から下の空間は、「空(日光)」が見えなくても構わない工場群、都市間の移動用プラットホーム、横にも水平にも突き出す「衛星都市」を支える機構などで構成されている。「衛星都市」に関しては、土地の上に作られた都市とは違い、水平方向への増築にも制約はない。
その世界の日常や暮らし:
月、火星の自然法則から、適切なドリーム細胞をつくる
バーチャルな都市は、そこに行く人々が慣れるまでは、あまり戸惑わないよう、現実に存在する都市の形状やレイアウトを模倣したものから始まる。だがいずれは、バーチャルならではの物理法則を採用・応用したものになるだろう。距離や重力の方向は、バーチャルな都市や空間においては「現実」をそのまま真似する意義も少なくなっていく。垂直な壁や天井にさえも(重力のない宇宙都市のように)人はそこで生活できるようになる。距離や移動の概念もだんだん失われていく。そこに物理的な制約はないからだ。人の感覚を「惑わす」ことさえなければ、自由に設定、演出することで、その都市全体の「空間」を設計することが可能になる。
その世界の科学技術:
ドリーム細胞を使って、その惑星に住むのに適した身体に改造できる
女性たちが持っている、この滑空できる「翅」は、ヘリウムを充填して気球のような役目をもたせることができる。
その世界の科学技術:
細胞を材料に、強化された木材や金属材料を作る
植物の持つ、有機体独自の成長に伴うバランスや強度は、時として驚くほど高くそびえる樹木は特に、都市の構造物にも利用できる。自然がつくりあげた森の、その更に上にも植物で作られた都市を構築する。植物だけでは強度が保てない部分は人工物を使って補強する。一本の樹により生み出された緑のタワー。樹木を適度にバランス良く配置した街や村。田園は横ではなく、上に重ねられ、伸びていき、まるで空に根を張るように成長していく。
その世界の価値観:
ドリーム細胞エンジニアがなりたい職業No.1
実際に現地に赴いて顔を合わせる必要がないときは、バーチャル空間を介して交流ができる。視覚だけでなく、触覚も共有できるようになっている。触ったものの感触がそのまま伝わるのだ。
その世界の文化:
建築と自然物の共存を重んじる
この建物は、空中を滑空できる人々のためのプラットフォームにも使われる。心柱のまわりにいろいろな設備を作ることも可能。
その世界が抱える問題:
人口が増加し続け、住居や食糧問題が深刻化
ここでは円筒の形をした3階建ての家として描いている。ケーブルカーやモノレールのように、軌道さえあれば水平移動だけでなく上下移動も可能だ。仲の良い家族が、ぶどうの房のようにグループを作ってコミニュティを作ることもできる。バーチャルでの近所付き合いはどこまでもバーチャルでしかなく、顔を合わせての交流も大事なのである。
内側にエンジンや居住区を持つ、外形はとてもシンプルな飛行船。外側の膜は完全に透明となっている。
その世界が目指す世界:
人だけではたどり着けなかった未知の世界を切り拓いてくれる
この時代、人工重力(回転することで生み出される重力は除く)や、無重力装置はまだ実現していない。既存の方法をつかうことなく浮かぶためには、まだまだ硬い地面のうえに「立つ」、高いところに位置する構造物に自分を固定する・上からロープでぶら下がる・気流をコントロールして浮かぶ、などの方法があるが、これらはどうしても落下・墜落の危険も伴う。そのため、機械や動力の補助が必要となるのだ。
いかがでしたでしょうか。私たちは、この加藤氏の豊かな解釈と表現を、今後、開発の発想のヒントとして活用していきたいと思います。