月曜日の朝からギュウギュウの満員電車に揺られ、オフィスにつく頃にはやる気ゼロ。そんな会社員がたくさんいるとしたら、日本社会にとって大きな損失なのではないでしょうか?
満員電車は社会の活力を奪っている!?
働き方改革が叫ばれる昨今は、多様な働き方を認める企業も着実に増えています。特に最近は介護や育児など、さまざまな事情を抱えた社員が活躍しやすい環境をつくるという文脈から、リモートワークを採用する企業が増えているようです。
もちろん、デメリットもあります。例えば生産性。オフィスでは周囲の視線があり適度な緊張感が保たれていますが、リモートワークの場合はモチベーション管理もすべて個人に任されるため、向いている人と、そうでない人がハッキリと分かれそうです。また、通信やセキュリティ環境などの整備も必要です。
とはいえ、仕事の成果で評価される環境であれば、モチベーション管理は必要ないのかもしれません。やる気があろうがなかろうが、評価については結果が全て。厳しいですが、フェアだともいえます。また環境の整備については、固定費のかかるオフィスを削減できることを考えればプラスマイナスゼロにできる可能性も。テレビ会議やチャットも浸透してきた今、どうして私たちはオフィスに行かねばならないのでしょうか?
集まることで生まれる価値もある
リモートワークが注目されたことによって、オフィスに集まる価値もまた見えてきました。対面であれば「アレなんだっけ?」といった曖昧なコミュニケーションも成立するうえに、オフィスでばったり会った、他部署の人との会話からひらめくアイデアもあります。プロジェクトメンバー以外からの思いもよらぬ情報提供によって、社内イノベーションが起きる可能性も期待できるかもしれません。
リモートワークを推進することは、こうした「一見、非生産的に見えてしまうコミュニケーション」の機会を奪ってしまうことにつながります。優秀な上司や同僚から刺激を受けることも少なくなり、また、自分のタスクのみに集中することになれば、会社に対するロイヤリティも失われてしまうかもしれません。
どうにかしてオフィスワークとリモートワークの良いとこ取りはできないのでしょうか?
スイッチひとつで、どこでもオフィスに
例えば、自宅にいながら、オフィスで同僚と席を並べながら仕事をしているような環境が創り出せれば良いのかもしれません。それには、プロジェクションマッピング。自宅の壁にオフィスの映像をリアルタイムで映し出し、双方をカメラでつなげば自宅をオフィスにすることができます。じつはこのアイデア、すでに実現している企業がありました。
そこではオフィスの一角にある壁面に、遠隔地のオフィスの映像を等身大サイズで投影するという方式を採用。テレビ会議などと大きく違うのは、会議などの目的がない時もつけっぱなしにしていること。ふと映像に目を向けると、離れた支社の人と目が合い、そこからちょっとしたコミュニケーションが生まれることを期待しているのでしょう。
さらに今後、5G回線が一般的になれば、映像も音声も時差なく届くから違和感もより少なくなることが予想されます。将来的にコストも下がれば、いよいよリアルタイムのオフィスを、自宅やサテライトオフィスに再現することが出来るようになるかもしれません。
やっぱりオフィスはいらなくなる?
さらに、清水建設が開発した個人認証技術と設備制御技術を連携させるスマートワークプレイス環境制御を組み合わせても面白いかもしれません。どこのサテライトオフィスで仕事をしても、個人情報さえ入力すれば壁面に自社のオフィスが映し出され、さらに自分好みの空調や、照明の明るさを再現してくれるといった具合です。
また、さまざま企業で開発されている生体センサーを活用すれば、従業員の働き過ぎも防止できます。「今日は疲れが溜まって生産性が落ちているようです。早めに切り上げて休みましょう」といったリアルタイムのアドバイスで、社員の健康を遠隔マネジメントするようになるでしょう。
とはいえ、そうなると当然、誰もオフィスにいる必要がなくなります。となれば、オフィスではなく互いの自宅を映像でつなぐようになるのでしょうか?それは嫌がる人が多そうです。
むしろ逆に、ゆくゆくはオフィスが仮想空間につくられるようになり、私たちの映像がそこに集うようなことになるのかもしれません。その時は、オフィスビルであふれかえる東京の街は、一体どうなっているのでしょうか?
- 藤井 識史
- ITや金融、アパレルなど多彩なクライアントの広告キャンペーン/SPツール制作を手がけるコピーライター。株式会社モーク・ワン所属。