シミズの音環境ソリューション
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騒音は大気汚染や土壌汚染と並び、環境基本法に定められた典型7公害の一つ。うるささや不快な音に悩まされず、誰もが安心して生活できる音環境は、これからのまちづくりに不可欠です。清水建設が取り組んだのは、その仕組みを理解した上で音を「上手に操る」ことでした。
「音の正体」は空気や物体の振動波
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人の声、車の音、動物の鳴き声、楽器など、音にはたくさんの種類があります。同じ音でも音楽は人の心を豊かに、騒音は不快にしてしまいます。これら音の正体は空気の振動です。その振動が鼓膜やマイクに伝わることにより、音として認識されているのです。楽器の音色は職人による工夫と演奏者の技量により心地よく感じる一方、機械や自動車、鉄道等から発生する音は不規則な振動により不快に感じるケースもあります。不快な騒音は壁や床、天井を介して伝わるため適切な対策が必要です。
音は建物を通り抜け、室内を跳ね返る
空気中に異質の物体があると音の伝わり方は変化します。例えば壁に音が到達すると、音の一部は跳ね返されて室内へ「反射」、一部は壁の表面や内部で「吸音」、反射も吸音もされなかった音は壁の向こう側へ「透過」されます。透過された音は、後ろの壁に当たって再び跳ね返ります。音が透過することを防ぐ能力(遮音性)、音を吸収する能力(吸音性)を高め、上手に音をコントロールすることが音対策の鍵と言えそうです。
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シミズの解決策
「音を操る技術」を追求し、静かで快適な音環境を実現!
反射・吸音・共鳴の三段構えで騒音シャットアウト
しずかルーバー
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目隠しなどに使うルーバーを使い遮音することもできますが、従来の遮音ルーバーは大量の吸音材を使うため大型化・高価格化しがちです。しずかルーバーは羽板部分に反射・吸音・共鳴の3要素を組み合わせた独自の遮音機構を組み込み、より高い遮音性能を備えながら小型化を実現。高層ホテル「からくさホテルグランデ新大阪タワー」など多くの建物※で設備機器からの騒音を抑えるために採用されています。
2022年2月時点で10案件以上で採用されています。
音を「落下」させて周辺環境への音漏れを抑制
オトノカサ
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オトノカサやしずかルーバーはパラボラ(放物面)の原理を活用
オープンな空間における会話音声の拡散を制御するシステムです。放物面状のカサ、会話音声を収録するマイク、会話音声を拡声するスピーカーで構成され、パラボラアンテナの原理を活用し、放物面の焦点に上向きに設置したスピーカーから収録音声を放ち、カサの真下に反射させます。カサの直下では音声が拡声されるため声量を抑えても会話でき、カサの外には音声が広がらないため周囲に与える影響を最小限に抑えられ、オフィス環境の向上をサポートします。
外気は入れても、騒音は入れない
しずかスリット
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建物の感染症対策や省エネ化に向けて需要が高まる自然換気設備。しかし、外気を室内に取り入れる従来の給気用スリットは交通騒音などが同時に侵入し、室内の音環境を悪化させてしまう難点がありました。しずかスリットはスリットに吸音・共鳴機能を組み込むことで、室内に侵入する騒音を低減。外気の取り入れと騒音防止という相反する機能を両立し、クリーンで静かな空間の実現を可能にしました。
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ハリーの騒音対策ゼミ
重要なのは、騒音に適した「吸音」と「遮音」の組み合わせ
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重要なのは、騒音に適した「吸音」と「遮音」の組み合わせ
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吸音材を設置すると反響音を小さくすることができます
騒音対策で大切になるのは、「消波ブロック」と「堤防」の関係のように、通り抜けた音のエネルギーを吸収する「吸音材」と音の透過を最小限に抑える優れた「遮音材」の組み合わせ。吸音材を活用すれば、室内を音が往復する度に少しずつ音のエネルギーを吸収し、静かで過ごしやすい環境が実現できるというわけです。