2013.03.26

テクニカルニュース

省エネ

ecoBCP®を加速する2つの新実験棟が完成

当社技術研究所に、新たな研究開発拠点として「多目的実験棟」と「材料実験棟」が完成。このほど両実験棟では、平常時の節電対策(eco)と非常時の事業継続(BCP)を兼ね備える「ecoBCP®」を核とした技術提案力の強化に向けた研究開発がスタートしました。

スマート社会実現のための研究開発拠点である多目的実験棟では、空調・照明機器の消費電力を抑えたり、再生可能エネルギーを活用する制御技術や、ビルが使用するエネルギーを実質ゼロにする「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)」実現のための各種技術の研究開発などを行います。また、高機能・サステナブル材料の研究開発拠点である材料実験棟では、強度や耐久性に優れたコンクリートの開発など、建物の性能向上につながる各種建設材料の研究開発を行います。

なお、両実験棟の建設にあたっては、「ハイブリッド集中制震システム」や「ゼロシュリンク®」をはじめ、当社が開発した各種先進技術を導入しました。


多目的実験棟・材料実験棟の概要

■スマート社会実現のための研究開発拠点「多目的実験棟」

スマート社会実現のための、エネルギー制御技術やZEB関連技術などの研究開発拠点となる施設です。

ZEB化に向けた設備技術の評価検証を行うと同時に、その効果を体感できる「ZEBソリューションラボ」をはじめ、人工気象環境下で新たな空調・照明設備の開発を行う「建築環境試験室」、異なる外装システムの省エネ性能を検証できる「一対比較試験室」などを備えています。


多目的実験棟:鉄骨造、地上6階(高さ31.9m)、建築面積:512.5m2、延床面積:2,336.4m2

太陽光パネルやリチウムイオン蓄電池、スマートBEMSが導入されており、本実験棟を中心に2013年4月から順次、研究所内の全施設をスマートBEMSで繋ぐ予定となっています。


ZEBソリューションラボ:ZEB関連技術を盛り込んだ模擬執務スペースでは、運用時の省エネ性能や快適性を体感することができる


建築環境試験室:室内外の環境を再現し、設備の省エネや温熱環境、光環境をさまざまな条件で比較・検証することができる

■高機能・サステナブル材料の研究開発拠点「材料実験棟」

マクロからナノレベルでの分析・評価が可能な実験設備を多数導入し、建物の性能向上につながる高機能材料やサステナブル材料などの研究開発拠点となる施設です。


材料実験棟:鉄骨造、地上5階(高さ19.7m)、建築面積:711.3m2、延床面積:3,144.4m2


各種新技術の採用

両棟の計画に当たっては、新開発の各種技術を適用しました。まず、乾燥ひび割れ防止性能を備えたコンクリート「ゼロシュリンク®」を両棟に打設。また、材料実験棟の高度な実験を行う材料特性実験フロアなどの床には、静電気の発生を抑制する汎用型低価格導電塗床材「ケミクリートEQ」を塗布。さらには、震災後普及が進む当社独自のハイブリッド集中制震システムを両棟に導入しました。

■ゼロシュリンク®

コンクリートの乾燥収縮量がほぼゼロとなる超低収縮コンクリートです。美観を重視した打放しコンクリートを採用する文化施設や、ひび割れに伴う漏水リスクを回避すべき貯水構造物および遮蔽施設、目地がない床スラブを必要とする生産施設などに適しています。

詳しくは「ひび割れゼロへ! 超低収縮コンクリート開発」をご覧ください。


ゼロシュリンク打設の様子

■ハイブリッド集中制震システム

回転式制震ダンパー「ダイナミックスクリュー」とオイルダンパーを組み合わせ、ビル低層階に集中配置することで効率的にビル全体の揺れを抑える制震構法です。新築・改修とも適用可能であり、従来行われていた各階に制震装置を分散配置する構法と比較して、ローコスト・短工期を実現します。

詳しくは「巨大地震から歩行振動まで制震!」をご覧ください。


ハイブリッド集中制震システム