当社は、ニューヨーク州立工科大学(SUNY Poly)構内の新築ビルに省エネ・創エネ技術を導入し、ZEB※1実現に向けた実証試験※2を開始しました。
米国エネルギー省は、米国に新築される業務用ビルについては2030年までに、既存を含むすべての業務用ビルについては2050年までに、実質的なエネルギー使用量をゼロにする「Net-Zero Energy Commercial Building Initiative」を発表しています。また、2009年11月には、日米クリーンエネルギー行動計画が合意され、省エネルギービル分野における日米共同の実証事業について検討を進めることが掲げられています。
こうした背景のもと、本実証事業では、シミズ・スマートBEMSやRFIDを用いた位置情報システムなど、日本企業が優位性を持つきめ細やかな制御技術を活用することで、標準的なビルと比較して、消費電力の半減を目指します。これにより、米国における日本の省エネ・創エネ技術の普及を図るとともに、今後は、欧州やアジアなどへの世界展開を促進することを目指します。
Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略。建築や設備の省エネルギー、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの活用、地域内でのエネルギー相互利用などの対策を組み合わせることでエネルギーを自給自足し、化石燃料などから得られるエネルギー消費量をゼロ、あるいは、概ねゼロとする建物
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの当社とシミズ・ノース・アメリカ社(当社現地法人)への委託事業
実証事業の概要
本実証事業では、ニューヨーク州立工科大学が2015年に建設した省エネビルに、シミズ・スマートBEMS、RFIDを用いた位置情報システム、グラデーションブラインド、燃料電池システム、太陽光発電システムなどを組み込み、人間の行動に合わせた照明制御など、当社をはじめ日本企業が優位性を持つきめ細かな制御技術を活用したZEBの実証を行います。
約54%の省エネ・創エネ効果によりZEBを実現
実証試験を行う省エネビルは、中央アトリウムの採光システムなどの導入により、標準的なビルに比べ、一次エネルギーの消費量を57%削減しています。
これに、本実証事業による省エネ・創エネ効果54%を加え、実質的なエネルギー使用量をゼロ以下(トータル111%削減)にする計画です。
導入した主な技術
シミズ・スマートBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)
設備や環境を統合的に監視・制御するシステム。空調や照明などの負荷設備と太陽光発電やコージェネなどの創エネ設備を機器特性や状況に応じて制御することで、省エネやピークカットを実現します。
RFIDを用いた位置情報システム
アクティブ型RFIDタグを用いた、施設内における人の位置情報取得・応用システム。施設内ゾーン毎の人の在不在や人数などを取得でき、設備制御や施設の使われ方の分析に活用します。
RFIDを用いた位置情報システムのイメージ。それぞれの円がRFIDの検出エリアで、照明制御単位となるゾーンをカバーするようRFIDアンテナを配置。
本事業では、ゾーン毎の在室者・人数をリアルタイムに検出し、照明の点滅制御を行う。またファシリティマネジメント向けに、滞在履歴情報などを施設利用者に提供。
グラデーションブラインド
自然光を屋内に採り入れ、照明に用いるシステム※3。季節・時刻・天候によって変化する太陽高度や日射の影響に応じてブラインドの羽根の角度を制御し、天井間接光として自然光を採り入れ照明負荷を下げる、あるいは熱流入を低減し空調負荷を下げることで省エネを図ります。
当社、立川ブラインド工業(株)、トーソー(株)の共同開発