2016.11.29

テクニカルニュース

環境

枯葉剤ダイオキシン汚染土壌の洗浄技術を確立

当社は、枯葉剤由来のダイオキシン汚染土壌に対して当社独自の土壌洗浄技術が有効であることを洗浄実験により確認し、効果的な洗浄技術を確立しました。

ベトナムでは、戦争時に散布された枯葉剤によるダイオキシン汚染土壌が現在でも残っており、汚染レベルの高いホットスポットも約30ヶ所で確認されています。当社では、2014年4月から同国の枯葉剤由来のダイオキシン汚染土壌に対する当社洗浄技術の有効性確認のため、土壌調査を開始しています。

当社の土壌洗浄技術は、土壌粒子の大きさごとに水洗いや擦りもみ洗い、泡の表面に汚染物質を付着させて除去するフローテーションなどを行うものです。フローテーションにおいて枯葉剤由来のダイオキシンを泡に付着させやすくする薬剤を特定できたことでダイオキシン除去率95%を達成しました。すべて熱処理するのに比べて、約半分のコストで汚染土壌を浄化することができます。

今後は、パイロットテストや大規模浄化事業の実施などについて、広く検討を進めていきます。

泡の表面に汚染物質を付着させて除去するフローテーション(当社独自技術)

汚染土壌の約7割が再利用可能に

当社の土壌洗浄技術は、まず最初に汚染土壌を洗浄可能な粒子(粒径63μm以上)とそれ以外の粒子(粒径63μm未満)にふるい分けします。

次に、洗浄可能な粒子については大きさごとに水洗い、擦りもみ洗い(スクラビング)、泡の表面に汚染物質を付着させて除去するフローテーションなどを行い、再利用可能な洗浄土とします。

当社の土壌汚染洗浄技術

スクラビング・フローテーションでダイオキシン除去率95%を達成


洗浄実験の様子

今回、当社がベトナムで採取した汚染土壌の場合、その約70%は粒径が63μm以上あり、洗浄処理に適しています。洗浄可能な粒子については、スクラビングとフローテーションなどによる洗浄処理を行います。

スクラビングでは、汚染土壌表面を薬剤で処理した後、スクラバーで擦りもみ洗いをすることで、粒子に強く付着している汚染物質を効果的に剥離します。また、フローテーションでは、土壌粒子から剥離した汚染物質を気泡とともに表面に上昇させて、除去します。

汚染土壌の洗浄は、対象の汚染物質の種類や土壌の性質などにより薬剤を変える必要があります。今回、枯葉剤由来のダイオキシン除去を泡表面に付着しやすくする薬剤を特定できたことにより、除去率95%を達成しています。当社の洗浄技術は、すべてを熱処理する場合に比べて、約半分のコストで汚染土壌を浄化することができます。


  • スクラビング:薬剤処理をした粒子同士を擦り合わせ、
    汚染物質を効果的に剥離

  • フローテーション:汚染物質は気泡に付着し、
    気泡とともに上部へ上昇

実験の背景と当社の土壌洗浄技術

当社では、2014年4月から枯葉剤由来のダイオキシン汚染土壌に対する当社洗浄技術の有効性について調査を開始しました。2015年5月からはベトナム国内で簡易実験による洗浄可能性調査を実施し、同年11月にはベトナム政府機関の要請により、ダイオキシンに関する国際シンポジウムで当社の土壌洗浄技術の有効性を発表し、ベトナムの資源環境省、科学技術省、国防省から高い評価を受けました。

さらに、同国の枯葉剤ダイオキシン汚染土壌の本格的な浄化可能性調査の依頼を受け、2016年2月から土壌洗浄実験を進めています。

当社の汚染土壌浄化技術


高濃度汚染土壌に対応したオンサイト型土壌洗浄プラント

当社は、日本国内において累計300万tにも及ぶ汚染土壌の処理実績を有しています。

当社の技術はダイオキシンに限らず、重金属や油、放射性物質による汚染土壌の効率的な浄化と減容化に対応します。

オンサイト型土壌洗浄プラントの処理フロー図:
汚染土壌の掘削から処置、埋め戻しまで全て場内で行うことが可能