当社は、病室内で発生する不快な臭いをいち早く感知し、すばやく換気を行うことで拡散を防ぐ臭気制御システム「スメルケア」を開発※しました。
一般に病室内は、患者にとって快適な環境を維持するために常に空調を稼働させています。しかし、オムツ交換や食事など、強い臭気が発生する場合は、空調効果を低下させる窓開け換気に頼るケースが多く、一旦臭気が病室内に拡散してしまうと、空気清浄機などを用いても短時間で除去することが困難です。
当社が開発したスメルケアは、高感度の半導体センサーにより臭気を即座に感知し、臭気濃度に応じて給排気ファンを制御することで拡散を防ぎます。本システムを用いると、これまで1時間以上たっても除去できなかった臭気を、わずか10分程度で除去することが可能となりました。
今後、当社はこのシステムを、病院や介護施設、ホテルなどにも提案していきます。
センシング機器メーカーの新コスモス電機(株)と共同開発
インデックス
システムの概要
本システムは、高感度の半導体センサーを内蔵したボックス型の制御ユニットに集約されており、非常にシンプルな構成となっています。また、制御ユニットは複数の排気ダクトを集約する天井内の排気チャンバーなどに設置します。
臭気が発生すると、まず半導体センサーがこれを感知し、臭気の発生を制御ユニットに伝えます。制御ユニットは、半導体センサーからの情報を元に中央監視システムへ制御信号を送り、各病室内の換気レベルを即時にアップする仕組みとなっています。
半導体センサーによる臭気感知の仕組み
半導体センサーは、臭気分子の酸化還元反応を利用して臭気を感知します。通常時は、半導体センサーは表面の酸素イオンの働きで電気が流れないようになっていますが、臭気が発生し、その分子がセンサーに触れると、還元反応で酸素イオンが除去されて電気が流れるため、臭気の発生を感知することができます。
模擬臭気ガス散布による性能検証
本システムの性能検証にあたっては、模擬臭気ガス(エタノール)を使用した実証実験を行いました。
本システムによる換気制御がない場合、1時間以上かけても臭気を除去することはできませんが、本システムでは換気レベルを通常よりも上げることで、わずか10分足らずで臭気を除去することができました。なお、システムの換気レベルはカスタマイズが可能です。