2015.08.31

テクニカルニュース

施設価値向上

公開実験で性能を実証「シミズ安震フロア」

当社は、ローコスト・短工期の手術室向け床免震システム「シミズ安震フロア」の性能を実証する公開実験を、当社技術研究所 先端地震防災研究棟で実施しました。公開実験ではシミズ安震フロアの動きをご覧いただき、性能を体感していただきました。

シミズ安震フロアは、薄い鋼板2枚を重ねただけのシンプルな構造の部分床免震システムで、地震時には上部の鋼板がスライドすることで高い免震効果を発揮します。大地震時における手術台や医療機器の移動・転倒を防止し、地震直後から医療行為の継続を可能にします。

本システムは、改修・新築を問わず適用可能であり、一般の床免震と比べ、コストは1/2~2/3、工期は約半分です。当社が施工中の「とちぎメディカルセンターしもつが(栃木県)」の手術室で初採用されており、今後は、手術室はもちろん、医薬品倉庫やサーバールーム、データセンターなどへの適用についてもご提案していきます。

新日鐵住金(株)との共同開発


実験のため、大型振動台の上に設置された安震フロア(中央に手術台)


システムの概要

シミズ安震フロアは、手術室の床上に固定する「フロアプレート」、フロアプレートの上に重ねる「免震プレート」、免震プレートと手術室の壁をつなぐ複数の「復元ばね」から構成されます。

フロアプレートと免震プレートはいずれも耐食性の高い亜鉛めっき鋼板製で、フロアプレート表面のエンボス(凹凸)加工によりプレート同士の接触面積を小さくするとともに、接触面に特殊な潤滑処理を施すことで滑りをよくし、免震効果を高めています。

●実大模型(手術室の一部)

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大型振動台による公開実験を実施

公開実験では、あらゆる地震の揺れを再現できる大型振動台「E-Beetle」上に安震フロアを設置し、阪神・淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)の揺れを再現して、安震フロアあり/なしの比較実験を実施し、その効果について検証しました。

■安震フロアあり/なしの比較(阪神・淡路大震災)

大型振動台により、震度6強の揺れを再現した性能検証実験の様子
安震フロアなしの手術室(左)では手術台が激しく動き、転倒寸前の状態となったが、安震フロアで免震化した手術室(右)では免震プレートがゆっくり移動するだけで手術台の移動・転倒は発生しなかった。また、地震後の残留変位もほとんど生じなかった。


震度6強クラスの揺れでも手術スペースに作用する加速度は200ガル以下に低減されており、機器転倒の可能性のないことが確認できた。

■大振幅振動台「E-Spider」で大地震時の揺れと免震効果を体感

今回の公開実験では、大型振動台での揺れを、大振幅振動台上に設置された専用キャビン内でお客様に体感していただきました。はじめに安震フロアがない時の揺れを、次に安震フロアによる免震化の効果を体験していただきました。


実験風景


「とちぎメディカルセンターしもつが」の手術室で初採用

シミズ安震フロアは、現在建設中の「とちぎメディカルセンターしもつが」の手術室(フロアプレート72m2/免震プレート56m2)で初採用されました。

本システムを適用した手術室では、大地震時でも免震プレート上の加速度が100~200ガル(0.1G~0.2G)程度に軽減されるため、医療設備や機器の移動・転倒を防止することができます。

建設地  栃木県栃木市大平町
発注者 一般財団法人 とちぎメディカルセンター
設計・管理 (株)山下設計
施工 清水建設(株)
規模・構造 建築面積7,031m2、延床面積24,2622、7階建て、鉄骨造(柱CFT造、梁S造)
工期 2014年3月~2016年1月