
3Dプリンティング技術の活用が多分野で進むなか、建設分野ではコンクリート施工の省力化・省人化を企図した技術開発が主に進められています。
ここでは3Dプリント材料「ラクツム」から最新の材料噴射型3Dプリンティングまで、技術開発のこれまでを振り返ります。
コンクリート3Dプリンティング用の繊維補強モルタル材料「ラクツム」の開発により、高さ2m超の埋設型枠の3Dプリントを実現
複雑な形状の巨大柱やグラデーション色のカラーベンチの実現によってデザイン幅の自由度を拡大
柱基礎の埋設型枠への適用例
~工期6割短縮を実現~
(鉄道工事現場)
外構ベンチへの適用例
~部材の薄肉化で材料使用量を低減~
(千五沢ダム改築)
ラクツムに粗骨材を添加した構造用ラクツムによって、建築物の構造耐力上主要な部分に使用できる指定建築材料として国土交通大臣の認定を取得
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ニュースリリース
建設3Dプリント材料「ラクツム」を改良し、大臣認定を取得
~建築構造部材の3Dプリンティング施工が可能に~
オンサイトプリンティングにより大規模積層体の一括印刷が可能に
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ニュースリリース
幅20m・高さ4.5mの大規模造形物を施工場所でそのまま “印刷”
~オンサイト建設3Dプリンタ「Shimz Robo-Printer」を新規開発~
壁状柱への適用例
~構造合理化により躯体ボリュームを1割削減~
(温故創新の森 NOVARE Academy)
従来は建物の柱・梁の型枠や、非構造部材の製作に活用されていた3Dプリンティングを、構造部材そのものの製作に適用
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ニュースリリース
3Dプリンタでコンクリート構造体を印刷
~建築物個別の大臣認定を要さず、プリント構造体を実構造物に適用~
シェル構造屋根への適用例
~ラクツムの特徴を活かした水密性の高い構造の実現~
(温故創新の森 NOVARE 再利用保管庫)
トイレ施設への適用例
~曲面を活かしたデザイン~
(SETAGAYA Qs-GARDEN)
新たに開発した噴射型のプリント材料を鉄筋の外周から吹き付けていくことで有筋構造部材を造形
モバイルプリンタと自動材料製造装置を新たに開発し、国内で初めて材料噴射型3Dプリンティング技術を用いて柱部材を現場で直接印刷
これまでの受賞実績
2023 土木学会技術開発賞
「繊維補強セメント複合材料を用いた建設用3Dプリンティング技術の開発」
2022 エンジニアリング功労者賞 中小規模プロジェクト枠
「建設3Dプリンティングシステム開発チーム」
2022 日本建設機械施工大賞 大賞部門 最優秀賞
「ロボットアームを用いた建設3Dプリンティングシステム」
2022 日本コンクリート工学会賞(技術賞)
「建設用3Dプリンティング技術の開発(総合題目)」
2022 コンクリート工学講演会年次論文奨励賞
「材料噴射方式3Dプリンティングで製作した梁部材の構造性能」
2021 土木学会田中賞選考委員会かけはし賞
「自由曲面を有する埋設型枠への3Dプリンティング技術の適用」
2019 土木学会吉田研究奨励賞
「3Dプリンティング技術を用いたコンクリート自動化施工に関する研究」