論文紹介清水建設が発表した論文をご紹介します。

多点移動常時微動計測と伝達関数再構築による高層建物の振動特性評価

第91号2014年1月
  • 杉本 浩一(技術研究所)
  • 岡田 敬一(技術研究所)
  • 白石 理人(技術研究所)
  • 森井 雄史(技術研究所)

高層免震建物を対象に多点移動常時微動計測を行い、固有振動数、減衰定数、モード形の推定・分析を行った。対象建物は地上22階、地下3階、高さ106m、RC造の事務所建物である。 建物の常時微動計測は上下階を同時に計測することが一般的だが、今回はセンサ使用数や同時計測するチャンネル数を削減する目的で、建物上部の基準点となる1点を固定し、他センサを1フロア毎に移動させて複数回計測を行った。この手法は、基準点の常時微動波形を毎回計測するため、基準点を入力、各計測点を出力とした伝達関数を各計測波形記録から算出し、周波数領域で除算を行い、カーブフィットすることで、建物全体系としての振動特性を評価することができる。本論では、本手法を用いて3次までの固有振動数と減衰定数、そしてX方向、Y方向、ねじれ方向の振動モード形の同定を試み、多質点系の理論解に近い固有振動モード形状を示すことにより、手法の有効性を確認した。

Dynamic Characteristics Identification of Buildings Based on Multipoint Moving Measurements and Reconstructed Transfer Function

by Koichi Sugimoto, Keiichi Okada, Michihito Shiraishi and Takeshi Mori

In this paper, dynamic characteristics of a base-isolated high-rise building located in Tokyo were investigated based on multipoint microtremor measurements. In order to decrease measurement instruments such as vibration sensors and measurement channels, we measured it several times moving a limited number of sensors in each floor at the building. Then, we applied system identification method corresponding to the multipoint moving measurement to identify natural frequencies, damping ratios and mode-shapes up to 3rd mode for each direction of the building.

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