2023.06.05

テクニカルニュース

施設価値向上

時代のニーズに適応し、成長し続ける工場づくりをサポートする「Growing Factory®

当社は、初期設計段階から運用段階に至るまで、デジタルツインを活用したエンジニアリングサービス「Growing Factory®(グローイングファクトリー)」の提案活動を推進しています。

本サービスは、3Dプラントモデル上でさまざまな稼働シミュレーションを重ね、短時間で最適な施設計画を導き出します。また、工場稼働後も現状と設計データの比較検証をすることで、継続的な施設価値の向上を実現します。

工場のライフサイクルにわたり、「時代の変化に適応し、10年後も成長し続ける工場」づくりをサポートしていきます。

「Growing Factory」のバーチャル空間(食品工場での適用イメージ)
「Growing Factory」のバーチャル空間(食品工場での適用イメージ)

背景

近年の工場では、労働力不足や働き方の変化を背景に、生産ラインの自動化・省人化が課題となっています。また、脱炭素社会の実現のため、カーボンニュートラルへの対応が求められています。こうしたニーズに対応しつつ、将来の市場環境の変化に対応できるよう、限られた事業予算の中で費用対効果を最大化する施設計画を立案する必要があります。しかし、さまざまな案を検証するには、膨大な手間と時間がかかっていました。そこで、より効率的に生産施設計画を立案できるツールが求められていました。

エンジニアリングサービス「Growing Factory」の概要

工場は、生産設備やユーティリティ設備、物流設備と建物そのものを分けて考えるのではなく、一体融合的に施設全体の最適化を図らなければ、生産能力の高い工場は実現できません。シミズでは計画から施設建設、そしてリニューアルまでを一貫して対応する「トータルエンジニアリング」に1970年代より取り組んできました。これまでのノウハウをデジタル技術で統合し、工場の課題に最適解を導き出すための新たなエンジニアリングサービスが、Growing Factoryです。独自に開発した生産シミュレーターと3Dプラントモデルの連携システムを通じて、各段階で最適な計画を提案することで、工場建設だけでなく、激しい市場環境の変化に対応し、成長していく工場を実現します。

設計段階:工場プランに対する稼働シミュレーション

設計段階のエンジニアリングでは、バーチャル空間に建設した複数の工場プランに対して稼働シミュレーションを行い、イニシャルコスト、ランニングコスト、品目別生産能力などを検証した上で、事業予算と整合した最適な工場プランを提案します。

その提案に基づき、全体構想を確定させた後、ニーズに応じて工場内の生産・物流ラインの自動化・省人化の検討を行い、シミュレーション結果に基づいた製造設備や搬送機器の最適な組み合わせを導き出します。

運用段階:稼働データと設計データの比較

工場稼働後は、稼働データをもとに、生産ラインの稼働率やボトルネック、構内物流の動きなどをデジタルツインで可視化し、市場環境の変化も踏まえながら改善、工場の稼働率向上に継続的に取り組みます。エネルギーの使用特性なども解析し、省エネ設備の導入を進めながら、カーボンニュートラルへのロードマップを策定します。

稼働データと設計データを比較し、問題点を洗い出す
稼働データと設計データを比較し、問題点を洗い出す

カーボンニュートラルと省人化を実現

自動化による省人化

自動化設備導入については、シミュレーションをしながら段階的に設備投資を計画します。医薬品、食品、化学品などの生産設備分野でのトータルエンジニアリングを自社で担当できるシミズの特長を活かし、メーカーにとらわれない生産ラインを構築するとともに、建設プロジェクトを効果的にサポートしながら徹底的な省人化を実現します。

使用電力の比率が高い負荷に対し、省エネを提案

「地球温暖化対策推進法」の施行により、工場においても省エネルギー化が求められています。工場の多くでは、使用電力の大半を空調やコンプレッサーなどのユーティリティ設備が占めています。お客様と一体となってこうした設備の省エネに取り組みます。

創エネルギー・蓄エネルギーの提案

リアルタイムの電力使用データと実績データを比較検証することで、エネルギーの使用特性を解析し、使用電力の削減を図ります。加えて、工場立地に適した創エネ・蓄エネ設備の導入やグリーン電力の活用も検討し、カーボンニュートラルな工場を実現します。

今後の展望

GrowingFactoryを活用した提案を広げていくとともに、初期設計段階から運用段階まで工場のライフサイクルにわたるエンジニアリングパートナーとして、製造業のお客様の事業をサポートしていきます。また、機能の拡張、UI(ユーザーインターフェース)の改善、さらなる自動化や連携範囲の拡大により、サービスの充実を図っていきます。