当社は、東日本大震災以降、東北3県を中心に多くの復旧・復興事業に取り組んできました。放射性物質の効率的かつ効果的な除染、災害廃棄物の処理、そして、今後予定されている中間貯蔵施設の建設事業においても、これまでの実績やノウハウを生かし、安全・安心で効率のよい施設建設と運営に関する技術開発に取り組んでいます。
今回の特集では、貯蔵施設や処理施設の建設・運用に不可欠である放射線モニタリングシステムや、除染除去物のさらなる減容化など、当社の除染・中間貯蔵施設関連技術についてご紹介します。
除染・中間貯蔵施設関連技術
放射線モニタリングシステム「LEDシンチレーションファイバー検出器」シンチレーションファイバー検出器※とLEDライトを組み合わせ、広範囲における連続的な測定を行うと同時に、放射線レベルの高低を検出場所でリアルタイムに見える化する放射線量モニタリングシステムです。 放射線に反応して発光する光ファイバを用いた放射線検出器。 ■システムの概要本システムは、全長10mのシンチレーションファイバー検出器のライン上にRGB LEDライトを15cm間隔で並べたもので、検出した放射線量に応じて検出位置のLEDの色をリアルタイムに変化させることで高線量部分を視覚的に特定する仕組みとなってます。 低コストで広範囲を連続的に測定できる上、狭い場所に設置することができ、遠隔監視やデータ保存にも対応しているため、貯蔵施設や処理施設における環境放射能の監視、放射性物質の漏洩の早期検出などに適しています。 |
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セシウム汚染土壌濃度分別装置「セシウム土壌ソーター」セシウム汚染土壌を放射性物質の濃度に応じて精度高く分別することで、遮水構造を備えた貯蔵施設へ投入する高濃度汚染土壌(8,000Bq/kg超)を3割程度削減します。 ■システムの概要本装置は、汚染土壌をベルトコンベアに供給するフィーダー、重量計測器、汚染土壌を成形するレベリング・ローラー、形状測定機、放射線測定機、測定結果に基づき汚染土壌を分別する切替ダンパーにより構成されています。放射線測定機は、外部線量の影響を受けないようラインを遮蔽する鉛製フードの中に設置します。 本装置を用いると、汚染土壌の重量を±1%以内の精度で計測できる上、放射能量の計測誤差も20%以下に抑えることができます。その結果、従来の分別装置よりも安全かつ正確に汚染土壌を分別することが可能です。装置の処理能力は、1ラインあたり30~100m3/時間程度です。 |
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ウォータージェット破袋システム「フレコンクロスカッター」超高水圧・微水量のウォータージェットで、除染除去物が入った大型の土のう袋を効率よく破袋します。非接触で袋素材のみを切断するため、内容物の硬軟・軽重に左右されることなく破袋できる上、カッター等の消耗部品の交換が不要です。 ■システムの概要本システムは、スライド式のウォータージェット「クロスカッター」(2機)と、これを組み込む長さ1m程度のローラーコンベアから構成されています。 大型土のう袋をベルトコンベアに乗せ、2機のクロスカッターをコンベアの進行方向に直交するよう互い違いにスライドさせながら超高圧水を噴射することで、上を通過する土のう袋の底面に「×字」状の切れ目を入れる仕組みとなっています。 破袋に使用する水量は1袋あたり1リットルで、わずか10秒で破袋できます。 |
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セシウム汚染土壌分別システム「パワーグラインドスクリーン」セシウム汚染土壌に含まれる植物根等の有機物を高精度に分別できるシステムです。円筒形の回転ふるい機の内側に設置した解砕羽が植物根に固着した土壌をほぐしてふるい落とす仕組みで、焼却処理による減容効果を高めると同時に、後工程となる土壌洗浄処理を高効率化します。 本システムは、汚染土壌洗浄システムと焼却処理を併用することで、中間貯蔵施設に保管する土壌の量を半分以下にすることが可能です。 |
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