当社は、既存吊り天井の耐震性能を短期間・低コストで診断できる天井耐震診断手法「ラッカノン」を開発しました。
本手法は、当社が東日本大震災後に実施した被害調査や各種実験で得た知見を集約・データベース化して確立したものです。診断担当者による評価結果のバラツキがなく、また、診断のみならず改修方法についても具体的に提案することができます。診断に必要な時間は、天井面積10,000m2程度の施設の場合、報告書・提案書の作成を含め最短で1〜2週間程度です。
国土交通省の調査では、吊り天井を採用している全国の大規模施設の2割弱で構造的な問題が見つかっています。吊り天井は、体育館や生産施設、展示場など、さまざまな施設に採用されており、天井落下による人的・物的被害が予想される施設については、規模を問わず耐震診断を行うことが重要です。
当社は、本手法の活用により、吊り天井の耐震化促進と被害防止に努めていきます。
担当者によるバラツキがない迅速な診断
本手法は、当社が東日本大震災後に実施した1,500棟に及ぶ天井落下被害調査や、耐震吊り天井の振動実験で得た吊ボルトの接合状況、部材接合部の耐力、天井部材と設備の干渉による影響などに関する知見を集約・データベース化して確立したものです。
データベースを基に、診断に必要な数値データ等を現地収集するための調査シート、ならびに評価結果を記入する診断シートを整備し、診断担当者による評価結果のバラツキをなくすと同時に、診断の迅速化を図っています。
■調査シート
診断担当者は、1部屋につき1枚の調査シートを用いて、ブレース形状や設置間隔、接合方法、天井の吊り方など最大32項目の調査・実測結果を記入していきます。シート上に図示された天井のチェック部位を参照しながら記入するため、必要な数値データ等を漏れなく収集することができます。
■診断シート
診断シートには、調査シートから転記する項目と、天井の重量や面積、形状等の図面をチェックして記入する項目の計22項目があります。それぞれの項目ごとに評価方針があり、結果を評価方針に照らし合わせるだけで、適合する改修方針や対策メニューが決定する仕組みとなっているため、評価結果にバラツキが生じることはありません。
具体的な改修方法をグレード別に提案
診断結果の対策メニューに基づく具体的な改修方法については、耐震性能のグレード別にメニュー化してご提案することができます。また、補強のパターンや補強効果の目安についても提示します。