見る角度によって色が変わるカラーシフト建材「カラーシフトタイル打込みPC板」を高山製陶(株)、(株)エスシー・プレコンと共同で開発しました。
カラーシフトとは、光干渉を利用して反射光の色調を制御する技術です。2000年代後半、建物の外装にガラスファサードの採用が広がるに伴い、光輝性塗料(メタリック塗装など)を使用するケースが増えています。しかし、現状の光輝性塗料は、ツヤを低く抑えた状態で使用しており、その反射特性を積極的に活用するまでには至っていません。
本建材は、タイル表面を帆型形状に成型したラスタータイルをPC板に打ち込んだもので、見る角度や日の当たり方によって色調が変化します。表面を帆型形状にすることで反射ムラを抑えると同時に、同一平面上での色調の制御を可能にしました。
カラーシフトタイル打込みPC板は、これまでにない多彩な表情を持つファサードを実現することができます。今後オフィスビル等の外装への適用を提案していきます。
●「カラーシフトタイル打込みPC板」の特長
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インデックス
光干渉を利用し反射光を制御するカラーシフト建材
「カラーシフトタイル打込みPC板」の実装パネルは、19.5cm角のラスタータイルを18列×10段(3.6m×2m)に配置したものです。
使用したタイルは金属光沢のある落ち着いた金色ベースで、これが光の干渉によって反射した際は銀色となります。今回作製した実装パネルは、ラスタータイルを1枚おきに左右転置で並べて、光が当たると市松模様を構成します。
■ラスタータイル
ラスタータイルは、光輝性材料の一つで、一度、釉薬(ゆうやく、うわぐすり)をかけて焼成したタイルの上に、酸化チタンなどの金属膜(ラスター釉)を焼き付けたものです。「ラスター」とは、ツヤ、光沢を意味し、光があたると玉虫や真珠、貝殻のような光彩を発します。
表面を帆型形状(スリット状の片勾配)にして、反射ムラを感じにくくすると同時に反射角を制御しており、帆型の向きを左右逆にすることで同一平面上での色調制御を可能にしています。
■開発者の一言
これまでラスタータイルは、外装に使うと色調が安定せず、ギラギラ感が出たり、PC板の製造過程から虹彩現象に悩まされたりと、非常に扱いが難しい素材でした。
今回、開発したカラーシフトタイル打込みPC板は、タイル表面を特別なスリット上に成型したことで、ギラギラ感や虹彩現象を同時に解決できました。タイル目地周りの納まりを工夫して汚れが付きにくくしています。
これまでにない新しい付加価値を持つファサードとして、自信を持ってお客様に提案していきたいと考えています。