2009.02.26

テクニカルニュース

施設価値向上

落雷対策、停電リスク診断システムで万全に

当社は、生産施設を対象とする「停電リスク診断システム」を開発・実用化しました。

近年は、電子部品など製造設備の高度化に加え、落雷を含めた自然災害の増加により、生産施設の停電被害が拡大する傾向にあります。ひとたび停電が発生すると、製造設備に被害をもたらすばかりでなく、製品不良や生産効率の低下など、生産活動そのものに深刻な影響を及ぼします。

本システムは、自然災害による停電の予想発生回数や、停電が発生した際に製造設備や生産活動に生じる被害額などを短時間で診断することができます。また、具体的な停電対策を診断に盛り込んでおり、対策コストや費用対効果についても把握・検討することができます。

今後、当社は、従来の地震関連の事業リスク診断に加え、落雷を含むさまざまな自然災害を考慮した診断により、お客様の事業継続計画(BCP)策定をより幅広く支援していきます。


対策診断(例)

●システムの特長

  • これまで定量化が難しかった停電リスクについて、定量的に把握することができます。
  • 停電対策にかかるイニシャルコストとランニングコストを算出することで、費用対効果を踏まえた検討が行えます。
  • 算出に必要な情報がデータベース化されており、また入力項目を必要最小限に絞り込むことで短時間で診断できます。

「瞬低」を含む停電リスクを総合的にすばやく診断

停電には、瞬時電圧低下「瞬低」から、数分程度の「短時間停電」、数時間から数日間の「長時間停電」までありますが、いずれの場合も発生すると製造設備や生産活動そのものに大きな影響を及ぼします。

当社が開発した「停電リスク診断システム」は、「停電リスク予測システム」「被害額予測システム」「対策診断システム」の3つから構成されており、瞬低を含むさまざまな停電リスクを、短時間で総合的に診断することができます。

■停電予測システム

施設の所在地や受電方式、耐用年数などの基本情報から、瞬低・停電発生回数を予測します。システムには、自然災害に関する複数の公的データベースが組み込まれており、必要最小限の入力項目から自然災害リスクを精度よく分析・予測することができます。

経済産業省「電気保安統計」、気象庁「警報・注意報統計データベース」、フランクリンジャパン社「落雷発生日数データ」など


年間の瞬低・停電回数予測(例)

■被害額予測システム

生産品の種類や年間生産額、年間稼働日数を入力することで、複数の被害要因から被害額を予測することができます。予測には、所定の原因が事業に与える影響を分析する手法「ビジネスインパクト分析」を用いています。


被害額予測(例)

■対策診断システム

非常用自家発電設備や無停電電源装置の設定など、具体的な停電対策がメニュー化されています。対策に要するコストや、対策によるリスク低減効果が一目で把握でき、費用対効果を踏まえた対策の検討が行えます。


対策なしの場合と比較して、対策案1、2、3は、被害予想額を低減することができる。対策案3の蓄電池式UPS(無停電電源装置)は、停電および瞬低の対策に効果があるが、蓄電池に待機電力がかかり、定期的に交換する必要があるため、維持管理費がかかる。


対策なしと各対策案について、ライフサイクル費用を比較。対策なしはイニシャルコストは安いが、ランニングコストで見ると数年後には各対策案よりも高くなる。