2008.09.25

テクニカルニュース

施設価値向上

“高耐震性能”と“柱を大幅に減らした大空間”を実現

当社は、高耐力コンクリート充填鋼管(CFT)柱と免震構造を組み合わせた超高層ビル向けの新たな構造設計手法を開発・実用化しました。国内で初めてCFT柱の鋼管に高張力鋼を適用することで、竹のように強くてしなやかな高耐力化したCFT柱が免震との組み合わせで、震度6強クラスの地震に耐えられる性能を確保し、柱を大幅に減らした大空間を実現しています。

本手法は、現在、横浜市で建設中の「富士ゼロックス新R&D拠点建設計画(CITYプロジェクト)」に採用し、柱をスリム化するとともに、免震装置を設置したフロア直上の柱本数を25%削減することができました。

CFTConcrete Filled Steel Tubeの略


本手法を採用した「富士ゼロックス新R&D拠点建設計画(CITYプロジェクト)」

●高耐力CFT柱と免震構造を組み合わせた新構造設計手法の特徴

  • 阪神大震災クラスの大規模地震にも耐えられる高い耐震性能が確保できます。
  • 建物の構造体のみならず、内部の損傷を最小限に抑えることで、地震発生後の業務再開に要する期間を最小化することができます。
  • 柱をスリム化すると同時に本数を減らすことで、柱を大幅に減らした大空間が実現できます。
  • 柱の使用鋼材を従来に比べ約20%削減することができます。

「富士ゼロックス新R&D拠点建設計画(CITYプロジェクト)」の事例

CFT柱の鋼管には、通常の鋼材に比べて2割ほど強度に優れた高張力鋼を採用し、免震構造を組み合わせたことにより、CFT柱をスリム化するとともに本数を削減し、柱の少ない大空間を実現します。

従来の設計手法では1.3m必要であったCFT柱の直径が0.8~1.0mにスリム化でき、また、免震装置を設置したフロアから上の柱を70本から50本へと25%削減できました。また、今回の高耐力CFT柱を使うことにより、CFT柱の鋼管の板厚が2.2~3.6cmになり、大変薄くなりました。

免震構造は、3階と4階の間に免震層を設ける中間階免震を採用し、大地震にも耐える建物の安全性を確保しています。免震装置には、高減衰ゴム系積層ゴム支承(42台)と弾性すべり支承(8台)およびオイルダンパー(21台)を組み合わせています。


架構パース


CFT柱の直径をスリム化

■工事概要

富士ゼロックス新R&D拠点建設計画(CITYプロジェクト)
所在地 横浜市西区みなとみらい6-1
発注者 富士ゼロックス株式会社
設計 当社
工期 2008年3月~2010年3月
構造・規模 鉄骨造(柱CFT造)・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造
地下1階・地上20階・塔屋1階
延べ床面積 135,268.62m2


完成予想模型