当社は、地震による横揺れに加えて、縦揺れも低減できる三次元免震システム「ハイパーエアサスペンション」を開発※、実用化しました。
すでに「ハイパーエアサスペンション」は、2009年4月完成予定のマンション(東京都杉並区)の新築工事に採用されました。精密機械工場などで三次元免震システムを部分的に採用するケースはこれまでにもありましたが、建物全体に採用されたのは、今回が世界初となります。
本システムは、免震を採用していない場合に比べ、地震の縦揺れを1/3、横揺れを1/8に低減することができます。これにより、大地震発生時に、建物自体の耐震性を保つことはもちろん、建物内部の家具転倒や什器の散乱を防ぐ効果が一層高まります。
マンションの他、防災拠点となる医療施設や公共施設、美術館や博物館に最適なシステムです。
(株)構造計画研究所、カヤバシステムマシナリー(株)との共同開発
●特長
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積層ゴムと空気ばねを組み合わせ、横揺れだけでなく縦揺れも低減
直下型の地震では、遠い海底で発生する地震に比べて、横揺れと同時に強い縦揺れが起こるため、被害が拡大することがあります。「ハイパーエアサスペンション」は、三次元免震ユニットにより、横揺れに加えて縦揺れにも対応します。
本システムの主要構成は、3次元免震ユニットとロッキング抑制機構です。3次元免震ユニットは、異なる機能を持った免震装置を上下に一体化したもので、建物と地盤の間に必要数設置します。ユニット上部は、従来型の積層ゴムによる免震装置を設け、横揺れを吸収。ユニット下部は、空気を封入した「空気ばね」による免震装置を設け、縦揺れを吸収します。縦揺れと横揺れの具合を建物や地盤に合わせて個別に設定できるため、想定される地震の揺れに対して、よりきめ細かく設計できます。
建物の転倒を防止するロッキング抑制装置
三次元免震で課題となるのは、縦揺れを吸収する際に、横揺れにより建物が転倒しようとする「ロッキング運動」です。
本システムでは、油圧機構を備えた「ロッキング抑制装置」を建物の四隅に設置し、建物がある方向に傾こうとすると、対角の位置にある装置がこれを抑制するように働きます。これにより、従来は難しかった縦揺れに対応可能となりました。