当社は、総出力600kWの分散型電源ネットワーク「マイクログリッド」を当社技術研究所において、本格運用を開始しました。
マイクログリッドは、ガスエンジンや太陽光発電等の自然エネルギーを含む複数の発電設備と蓄電設備をネットワーク化し、エネルギー需要の変化に合わせて最適制御することで、安定的にエネルギーを供給できるシステムです。
今回構築したマイクログリッドは、技術研究所内の12棟全ての実験棟に対して電力供給を行います。発電設備の排熱利用を組み合わせて、さらにエネルギー効率を向上させています。また、実用運用で、より低コストで安定したエネルギー供給が可能な電源制御技術の確立を目指します。※
今後は、マイクログリッドの計画から設計・施工さらには運用までに関する総合的な情報をお客様へご提供するとともに、事業ニーズに合わせた最適なマイクログリッドをご提案していきます。なお、本マイクログリッドは、ご見学していただくこともできます。
実用運転は、東京理科大学と東京大学大学院による技術指導、(株)明電舎と川崎重工業(株)による技術協力を得て行っています。
●マイクログリッドの特長
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インデックス
安定的にエネルギーを供給
当社は、平成16年1月に、当社技術研究所に総出力79kWの小規模なマイクログリッドを構築し、我が国初の実証実験を開始しました。約2年半にわたる実験の結果、極めて安定した運転ができることを実証しています。今回運転を開始するマイクログリッドは、総出力600kW級(標準家庭で約200世帯分の電力需要に相当)で、全実験棟(12棟)に電力供給を行います。
本マイクログリッドのエネルギー設備の構成は、主力発電設備2機と蓄電設備2機です。主力電源は、ガスエンジン2機で、緩やかな負荷変動に対応します。また、急激な負荷変動に対しては、ニッケル水素電池と電気二重層キャパシタ(コンデンサの一種)が対応します。さらに自然エネルギーの活用設備として、太陽電池を配置しています。
これらの設備を最適制御することで、エネルギーを安定供給します。また、運用データを蓄積し、制御精度、省エネ率及びCO2排出量の削減率等などの評価も行います。買電量を一定以下に抑え、より経済的なエネルギー供給を検討します。
マイクログリッドの概要図
■負荷追従運転により一定水準の電力品質を確保
太陽光発電など天候や時間帯により変動し、電力品質が不安定な自然エネルギーを利用しつつ、電力会社からの買電量を一定にする運転(負荷追従運転)により一定水準の電力品質を確保しています。買電の変動量が3%以下、かつ3分間で買電のトータル量が差し引き一定という成果を得ています。
■電力会社からの買電量を一定
従来は、電力会社が負荷変動に対応していましたが、本マイクログリッドにより負荷変動に自前で対応し、電力会社からの買電量を一定以下に抑えています。
都市型・郊外型のマイクログリッドを提案
都市再開発や地域活性化、または病院や生産施設など、電力使用量が多く、高い電力品質が要求される施設に適したシステムです。また、地震など大規模災害時の自立運転にも役立ちます。
■都市型マイクログリッド
都市再開発では、太陽光や風力などの自然エネルギーを利用する大規模な設備を設けることが困難です。都市型マイクログリッドでは、主力電源にガスエンジンを使い、需要の負荷変動に対する追従制御技術に主眼をおいて、電源制御技術を確立します。
■郊外型マイクログリッド
地域の活性化とともに、環境面への貢献をします。太陽光発電や風力発電など、発電出力の変動が激しい自然エネルギーと、バイオマスなどの新エネルギーを利用した分散型電源を適切に組み合わせて、需給バランスをとりながら電力供給するシステムです。