当社は、揮発性有機化合物に汚染された工場跡地に、土中の微生物を活用する土壌浄化技術「バイオスクリーン*」を初めて適用し、このほど浄化を完了しました。
バイオスクリーンは、微生物を活性化させる薬剤を地下水に加え、井戸とポンプからなるシンプルなシステムで地下水循環を行い、従来は処理の難しかったトリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物による汚染を浄化します。汚染土壌・地下水を、より早く、より安く、安全・確実に浄化できるバイオスクリーンをぜひご活用ください。
2001年にオランダ応用科学研究所から技術提携により導入。欧米を中心に数十件の浄化実績を有しています。
≪お客様メリット≫
- 汚染された土壌をその場で、掘削せずに浄化することができます。(原位置・非開削)
- 従来工法に比べ、浄化期間を大幅に短縮できます。
- 地上設備が不要のため、設置コストが安く、設置面積も少なくてすみます。
- 空気供給が不要な嫌気性微生物を用いるため運転コストが削減できます。また、活性化に使用する薬剤はコストが安く、浄化ランニングコストを低減します。
バイオスクリーンの概要
揮発性有機化合物による土壌汚染に関しては、設備機器が少なく短期間で安価に汚染物質を無害化できる「微生物による浄化(バイオレメディエーション)」が以前から注目されていました。
バイオスクリーンは、自然界の土中に原生する酸素を必要としない「嫌気性微生物」を人為的に活性化させて、発ガン性のある揮発性有機化合物を脱塩素化して無害化します。
井戸の配置や薬剤の工夫により微生物を適切に管理することで、テトラクロロエチレンや塩化ビニルなどの揮発性有機化合物を効率よく分解することに成功しました。
■システム図
- トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの揮発性有機化合物を嫌気性微生物により浄化します。
- 汚染濃度が10ppmを越えるような、高濃度な汚染に対しても生物分解が可能です。
- 汚染物質の移動による問題が発生しやすい砂層を中心に対応が可能です。
- 微生物を活性化する薬剤は食品添加物、動物飼料等から選択された安全なものを使用しています。
■バイオスクリーンによる無害化のプロセス
嫌気性微生物による揮発性有機化合物の浄化は、好気性微生物での分解に比べ、トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなど塩素数の多い化合物の分解が容易です。
バイオスクリーンは、嫌気性微生物では分解が難しかった、塩素数が減少したシス-ジクロロエチレンや塩化ビニルなども確実に分解し無害化することで、効率的な浄化を可能にしました。