このたび、地下大断面道路トンネルの分岐合流部を、地上から開削することなく築造できる「ES-J工法※」をコマツと共同で開発しました。すでに、一連の施工性に関わる実証実験を行い、実用化の目途が立っています。
これまでトンネルの分岐合流部は、開削工法で施工するのが当たり前でした。しかし、開削工事を行うと、地上の道路交通や環境に与える影響が大きく、また、地上に大きな工事用地が必要となるなど、さまざまな問題が生じます。
イーエス・ジェー工法:Expandable and Shrinkable tube method for Junctionの略
≪ES-J工法の特長とメリット≫
- 分岐合流部を開削なしで築造できるため、地上の道路交通や環境に与える影響が少なく、さらに地上の工事用地を必要としません。
- 従来の開削工法に比べ、分岐合流部の建設費が15%以上コストダウンでき、工期も短縮されます。
- 一台の本線用シールド機で任意の位置に何回でも分岐合流部を築造できます。また、本線トンネルと出入ランプ用シールドの接合がいつでもできます。
ES-J工法の概要
「ES-J工法」は、大断面道路トンネルの本線用シールドの拡幅技術と、本線用シールドと出入ランプ用シールドとの接合技術から構成されています。
- 本線用シールドの拡幅技術は、先に開発した任意の位置でトンネル断面を拡大・縮小できるシールド工法「ES-Tube工法」の要素技術群をベースに、新たに、大断面シールド機の開発を行いました。
- 本線用シールドと出入ランプ用シールドとの接合技術は、本線用シールド掘進時に設置する接合用セグメントの開発、および本線用シールドと出入ランプ用シールドの接合技術の開発を行いました。
■施工手順
- トンネル断面を拡大・縮小できる本線用の大断面シールド機を用いて、本線用シールドを掘進します。
- 本線用シールドと出入ランプ用シールドとの接合予定箇所に、出入ランプ用シールド機のカッタで切削可能な接合用セグメントを設置します。
- 出入ランプ用シールドを受け入れる断面を確保するため、本線用シールドを拡幅します。
- 出入ランプ用シールド機が、本線用シールドの接合用セグメントの一部を切削しながら掘進し、本線用シールドの拡幅部分に到達します。
- 本線用シールドと出入ランプ用シールドを接合し、分岐合流部の築造が完了します。
掘削しながら任意の位置でトンネル断面を拡大でき、また任意の位置で元の断面に戻せるシールド工法です。
トンネル断面の拡大は、シールド機の側部を拡幅して拡大したシールド機内で拡大セグメントを組み立てます。使用するシールド機の特徴として拡大断面を掘削するためのカッタ(伸縮カッタなど)とシールド機側部拡縮機構を備えています。