当社は、吊り天井の構造形式を抜本的に見直し、耐震性と施工性に優れた次世代耐震天井「SDクリップレス天井※」を開発・実用化しました。
SDクリップレス天井は、野縁(のぶち)と野縁受を一体化した下地材「Tバー」の採用により地震時に脱落しやすいクリップを排除するとともに、耐震ブレースにより天井の揺れそのものを抑制する構造となっています。
また、部品点数は従来の耐震天井の約半分と少なく、施工性が大きく向上するため、工期を短縮することができます。
Shimizu Direct-framing Clipless Ceiling
クリップレスで落ちない天井を実現
標準的な吊り天井は、天井ボードと、これをビス留めする棒状の下地材(野縁)、野縁をクリップ留めする野縁受、野縁受を上階から吊り下げるボルトから構成されています。地震時における天井崩落の主な原因は、揺れで野縁と野縁受を連結するクリップが変形・脱落するためです。
当社が開発したSDクリップレス天井は、野縁と野縁受けが一体となった下地材「Tバー」と、耐震ブレースにより構成されます。Tバーは、長いメインバーと短いクロスバーを格子状に組み合わせた下地材で、上階の構造体から吊り下げたメインバーにクロスバーを差し込むと、部材同士がしっかりとかみ合い、脱着できなくなる仕組みとなっています。
また、耐震ブレースは、当社が開発・実用化した部材で、30m2ごとに1対配置する「レ」の字ブレースと、20m2ごとに配置する「V」の字ブレースを併用してTバーと上階の構造体を連結します。
Tバーにより地震時に脱落しやすいクリップを排除し、耐震ブレースにより天井の揺れそのものを抑制する構造となっており、その他の部材についても細部に至るまで耐震化が図られています。
■部品点数が少なく、省力化・短工期化が可能
東日本大震災後、当社はこれまでの吊り天井の構造形式をベースに、クリップなどの既存部材の耐震性を検証し、最適な部材の選定と組み合わせにより、「シミズ新耐震天井」を開発・実用化しました。ブレース周辺に5種類28箇所の対策を施し、耐震性を高めました。
一方、今回開発したSDクリップレス天井は、部品点数がシミズ新耐震天井の約半分と少なく、施工性が20~50%向上するため、工期を10~20%短縮することが可能となりました。
2Gを越える地震動でも崩落しない高い信頼性
SDクリップレス天井は、シンプルな構造により部材を伝わる力の流れが直線的となるため、部材の変形や接合部の損傷が生じにくくなっています。
また、本技術の開発にあたっては、当社技術研究所で実証実験を実施し、天井面で1Gレベルになる地震動に対して天井が損傷しないこと、加えて、2Gを超える地震動(東日本大震災で記録した栃木県芳賀観測波)に対しても一部に損傷が生じるだけで崩落しないことを確認しています。