2010.01.12

テクニカルニュース

省エネ

ビル用マルチエアコン、空調エネルギーを25%削減!

当社は、中小ビルの空調エネルギー使用量を25%削減できるビル用マルチエアコン省エネ制御システム「i.ems(アイエムス:Intelligent Energy Management System)」を開発・商品化しました。

一台の室外機で複数の空調機を運転するビル用マルチエアコンは、中規模ビルを中心に採用が増えています。しかし、ビルに設置されている多数のマルチエアコンは個別に運転されているため、ビル全体の空調効率を高めることが難しく、これまで有効な省エネ制御ができませんでした。

本システムは、新開発の省エネ制御ソフトをインストールした汎用パソコンと、メーカー標準のマルチエアコン用コントローラとを直接接続するだけで、マルチエアコンの消費電力や各空調機の運転状態、室内温度を常時監視し、空調効率が最も高くなるよう空調制御を行うことができます。新築はもちろん、既存のビルにも適用可能な省エネ制御システムであり、改正省エネ法※1や改正東京都環境確保条例※2に対応します。

改正省エネ法により、今年4月から、企業全体のエネルギー使用量(原油換算値)が1,500kl/年以上の企業は、建物の規模に関わらず自社所有の全ての建物のエネルギー使用量を把握し、エネルギー使用量の定期報告書と中長期計画書(削減計画)を所管行政庁に提出することが求められます。

東京都環境確保条例では、省エネを達成できない企業は、企業名が公表されるとともに罰金が課されます。


ビル用マルチエアコン省エネ制御システム構成図

●システムの特長

  • 空調のエネルギー使用量を約25%削減できます。
  • 新開発の省エネ制御ソフトをインストールした汎用パソコンと、メーカー標準のビル用マルチエアコンシステムとを接続するだけで、マルチエアコンの消費電力、各空調機の運転状態と室内温度を常時監視し、空調効率が最も高くなるように空調制御を行うことができます。
  • 新築・既存どちらのビルにも適用でき、改正省エネ法・改正東京都環境確保条例などに対応しています。

省エネ効果

■実例:既存建物で約25%の省エネ効果を実証

既存建物に本システムを適用し、冬季・夏季それぞれについて省エネ効果を検証した結果、いずれも空調のエネルギー使用量を約25%削減できることを確認しました。

寒冷地における冬季の省エネ効果(オフィス)

省エネ率24%

夏季の省エネ効果(図書館)

省エネ率27%

■オフィスビルへの導入

平均的なオフィスビルの用途別電力量※3のうちオフィス専有部は約70%を占め、そのうち空調は30%となります。自社オフィスビル導入の試算例では、空調エネルギー約25%削減、CO2削減効果約5kg/m2となります。本システムの導入により空調に掛かるランニングコストが削減できるため、システム導入にかかる初期費用は数年で回収が可能です。

オフィスビルの用途別電力量の内訳は、オフィス専有、物販店舗、飲食店舗、共有部、駐車場[(財)省エネルギーセンターデータ]


シンプルなシステム構成で多数のビル用マルチエアコンを省エネ制御

本システムは、新開発の省エネ制御ソフトをインストールした汎用パソコンと、メーカー標準のビル用マルチエアコンシステムとを接続したシンプルなシステムのため、週末や夜間を利用した設置工事が可能です。コントローラを介して各マルチエアコンの消費電力、空調機の運転状態と室内温度を常時監視し、常に空調効率が最も高くなるよう全体を自動制御します。

空調機は能力の上限に近い高負荷運転時に空調効率が高くなる特性があるため、空調機が効率の低い中低負荷運転領域に入ったと判定された場合には、特定の空調機を「冷房・暖房モード」から「送風モード」に切り替え、残りの空調機に最大負荷がかかるように集中的に稼働させることで、室内環境を損なうことなく省エネを最適化することができます。

室外機4台の運転時の消費電力を比較してみると、高負荷運転時は低負荷運転に比べて消費電力は、大幅に削減されます。

複数のビル用マルチエアコンを効率の悪い低負荷運転から、刻々と変化する負荷に合わせて、より効率の良い高負荷運転になるよう間欠運転制御することで、省エネを実現します。