2009.11.12

テクニカルニュース

生産技術

立坑不要のシールド発進工法を開発

当社は、立坑不要のシールド工法を開発・実用化し、このほど実機の円形断面シールド機を用いて実証実験を行いました。

一般的なシールド工法では、先に発進立坑を構築し、そこからシールド機を発進させます。道路トンネルのようにシールド断面が大きい場合、発進立坑も大規模なものとなるため、その分工期とコストが必要となります。

本工法は、発進立坑を使わず、円形断面シールド機を直接地上から地中に向けて発進させるものです。立坑構築はもちろん、アプローチ区間の開削も不要となるため、従来のシールド工法に比べ大幅な工期短縮とコストダウンが可能です。

今後は、実証実験の結果を基にさらに技術開発を進め、都市部の大規模トンネル工事などにご提案していきます。


従来工法との比較(イメージ図)

●特長

  • 立坑構築やアプローチ区間の開削が不要となるため、従来工法に比べ工期短縮とコストダウンが可能です。
  • 立坑構築の場所を確保できない都市部の大規模トンネル工事に最適です。

大断面シールドにも適用可能

実際の道路を想定した実証実験では、円形断面シールド機(直径1.6m、全長約8m)を、地上から5%の勾配で地中に向けて発進させ、所定の土かぶり0.8m(シールド機の直径の半分)となる位置まで、37mの距離を毎分1〜2cmの速度で掘進しました。

地上から直に円形断面シールド機を発進させる場合、掘り始めのアプローチ部と土かぶりが薄い地表付近における掘削を安定させることが技術的な課題となります。実験では、地表面の沈下や傾斜を計る機器を150箇所に設置し、周辺地盤の変位をリアルタイムで計測しました。

実験の結果、シールド機は問題となるアプローチ部や小土かぶり部を順調に通過し、地中に向かって効率よく掘進できることが確認できました。掘進精度は上下水平ともに高く、高精度の方向制御が可能であり、大断面シールドにも十分適用することができます。


断面図

■実験の状況


発進直後


アプローチ部掘進中


小土かぶり部掘進直後


セグメントトンネル直前