当社は、タスク・アンビエント空調に「ICカード」と「温度・人感センサー」を組み合わせ、個人個人の好みの温度に自動制御する次世代の空調技術「ユビキタスパーソナル空調システム」を開発しました。暑がりの人や寒がりの人にも快適な環境を提供すると同時に、最大で約20%の省エネルギーを実現します。今後は、オフィスはもちろん、病院などの医療福祉施設や老人健康施設に提案していきます。
●システムの特長
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タスク・アンビエント空調を進化させた最新の空調システム
人のいる場所(タスク域)のみを適温にし、それ以外の場所(アンビエント域)は高めに温度設定にするタスク・アンビエント空調は、快適性と省エネの両立を狙った空調技術として注目されています。
今回開発した「ユビキタスパーソナル空調システム」は、タスク・アンビエント空調を進化させた最新の空調システムです。プロトタイプでは、全面床吹出し空調「フロアフロー」に組み込まれた自動パーソナル吹出口を開閉することでパーソナルな空調制御を行います。在籍者ごとに自動的に制御できる空調方式は本システムが初めてです。
■好みの温度に自動調整
個人の空調設定温度は、ICカードリーダーの「暑い」「寒い」ボタンを押すことで自動的に記録されます。
■きめ細かなスケジューリングが可能
個人の温冷感は、執務者の行動で生じる代謝により変化します。本システムでは、1日の中で決まった時間に行われる出社や食事などの行動に合わせた温冷感リズムを、きめ細かくスケジューリングすることで、精度を高め、快適性を確保します。
新しい空気の流れが快適で健康的な空間を実現する「フロアフロー」
全面床吹出し空調「フロアーフロー」は、孔あきOAフロアと、通気性のあるカーペットを通して、冷温風を床全面から効率よくゆるやかに空調し、室内で発生した熱や汚染空気を上部空間に押し上げて、天井から排出するシステムです。
吹出口からの不快な気流や汚染された空気の拡散がないため、健康で快適な環境を実現します。また、天井ダクトが不要なため、室内のレイアウトに制約がありません。
■開発者からの一言
ユビキタスパーソナル空調システムの開発は、無線タグや無線センサーなどの技術の進展のもと、私の研究テーマである建築設備における人に優しい「パーソナルフィット技術」を具体化すべく、進めてきました。開発の際に重要視した事は、いかにして暑がり寒がり、居室での生活行動といった個人の要素を空調制御に反映させるかというソフト的な部分であり、当社独自の技術となっています。
本システムのベースになっているパーソナル空調は、クールビズのもと省エネルギーと快適性を両立する空調方式として今後増えていくものと考えられます。今後は、本システムの発展型として生体センサーを活用した空調の自動制御や、照明や空気質などの環境要素も含めた室内環境のパーソナルフィットにもチャレンジしていきたいと考えています。