2007.03.22

テクニカルニュース

防災・減災

安全で“安震”な技術のショールーム、今春オープン

当社技術研究所内に防災・防犯技術専門のショールーム「安全安震館」が完成しました。世界最高クラスの免震性能を誇る「塔頂免震構造(やじろべえ免震)」を初適用し、今後、 免震性能の実証も行ってまいります。

安全安震館は「やじろべえ」のように、鉄筋コンクリート製のコアシャフトを建物の支柱にし、積層ゴムの免震装置を備える塔頂部から居室部分を吊り下げ、建物の固有周期を長周期化することで居室部の大地震による揺れを大幅に低減させます。

塔頂免震構造は、第一工房 高橋てい一氏、東京工業大学 和田章氏、竹内徹氏、アラップジャパン 彦根茂氏、清水建設のグループ「SFS・21」が共同開発した技術です。(SFS: Seismic Free Systemの略)


居室部分を吊り下げる構造の「安全安震館」


塔頂免震構造を初適用した「安全安震館」

当社技術研究所内に完成した防災・防犯技術専門のショールーム「安全安震館」は、地上4階(塔屋1階)、高さ14m、建築面積75.6m2、延べ床面積213.65m2の建物です。鉄筋コンクリート製のコアシャフトを建物の支柱とし、塔頂部から居室部分を吊り下げる構造となっています。

■外観

建物の地上部には、建物の支柱となるコアシャフトのみが接し、周辺にオープンスペースを生み出しています。


居室部分を吊り下げる塔頂部と積層ゴム


「安全安震館」のしくみ


コアシャフト周辺のオープンスペース


1階天井部:コアシャフトと居室部分のクリアランス(隙間)40cmが目立たない仕上になっている

■内観

建物外周はケーブルによる吊構造のため、居室部分には、柱や間仕切り等の制約がない無柱空間を実現しています。また、外壁面は透明性の高いファサードとなっています。


コアシャフト内部は階段


梁が無く、床から天井まで全面をガラスに覆われ、明るい室内空間


室内から見たコアシャフト


天井部も床部もクリアランス(40cm)が目立たない仕上げ


「安全安震館」における免震の仕組みと構造モニタリング

■免震の仕組みと効果

塔頂免震構造は、通常免震より長周期化でき、コアシャフトを支点とする吊構造のため常に原位置に戻ろうとする重力効果やダンパーの適切な配置などにより、きわめて高い免震性能を有しています。

積層ゴムをコアシャフト頂部の四隅に球面状(上下2つの焦点を有する)2段配置としています。減衰機構としては、オイルダンパーを屋上に各方向2段2列を配し計8台、2階レベルに各方向2列計4台設置しています。

オイルダンパーは、通常はロックされ不要な揺れを抑えて居住性を高めるとともに、震度3くらいの地震や強風に対してはロックが解除され、高い免震性能を確保します。


塔頂免震構造(安全安震館)の概念図

■構造モニタリング

安全安震館では、建物に変形や振動を測定する各種センサを取り付け、そのデータに基づき、地震直後に建物の構造健全性を確認する構造モニタリングを導入しています。

センサにより、地震や強風時における建物の状態を監視し記録するとともに、揺れを低減するオイルダンパーの制御を行います。


構造モニタリングシステム センサ配置

■施工にはリフトアップ工法を採用

安全安震館の施工にあたっては、コアシャフトを先行構築して、吊り下げ居室部分をリフトアップする工法を採用しました。