当社とシャープ(株)は、一台の除菌イオン搬送ファンユニットで、複数の部屋の空気を同時に浄化できる「除菌イオンダクト搬送システム」を共同開発し、このたび実用化しました。このシステムは、空気中のカビ菌やウイルスを分解する除菌イオンの効果を落とすことなく、特殊な空調ダクトを通じて10数メートルの距離を搬送することが可能です。
シャープが開発した除菌イオン発生装置は、既にエアコンや空気清浄機などに採用され、空気浄化ブームを巻き起こしました。今回開発したシステムは、イオン発生装置の改良や設置方法、空調ダクトの素材や形状など、様々な要素を組み合わせた実証実験を行い、吸着しやすいイオンの長距離搬送に成功し、一度に複数の部屋に除菌イオンを送り、効率的な空気浄化を実現しました。
現在、東京都港区で施工中の日本最大級の超高層マンション「ワールドシティータワーズ」の一部の住戸で採用が決定しています。今後は、集合住宅やオフィスビルなどを中心に、生産施設、医療施設、老健施設、宿泊施設などへの導入を積極的にご提案していきます。
●除菌イオンダクト搬送システムの特長とメリット
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10数メートル先まで除菌イオンを搬送できる特殊空調ダクト
『除菌イオンダクト搬送システム』の開発では、当社がイオンを搬送する「ダクトシステム設計」と除菌イオン発生装置を組み込んだ「除菌イオン搬送ファンユニット」を開発。また、シャープ(株)が「除菌イオン発生装置」の開発・製造を担当しました。
従来、除菌イオンは機器などに吸着しやすい特性があり、距離のある搬送が困難で、各部屋の吹き出し口に「除菌イオン発生装置」を設置する必要がありました。
開発にあたっては、イオン発生装置の改良や設置方法、搬送ダクトの素材や形状など、様々な要素を組み合わせて1年半の実証実験を行いました。
その結果、今回の開発により、除菌効果を保ったまま、10数メートルの距離までダクト搬送が可能となり、一度に複数の部屋へ効率的に除菌イオンを搬送することが可能となりました。また、新鮮な外気を各部屋に導くダクト内部もイオンにより除菌され、よりきれいな空気が部屋へ運ばれます。
除菌イオン搬送ファンユニット
除菌イオンとは?
プラズマ放電により、プラスとマイナスのイオンを発生させて空気中に放出し、浮遊カビ菌やウイルス、アレルゲンを取り囲んで、その作用を抑える画期的な空中除菌技術です。
シャープ(株)が2000年に開発し、家庭用のエアコン・空気清浄機・冷蔵庫・掃除機など、電機業界以外にもシャワートイレ、カーエアコン、エレベーターなど幅広い製品に採用されています。
■イオンによる除菌の仕組み(例:浮遊カビ菌の除菌)
超高層住宅への適用
本システムは、日本最大級※の超高層マンション「ワールドシティータワーズ(東京・港区)」の一部の住戸に採用が決定しています。
総戸数2082戸は国内過去10年間の単一事業主一団地認定民間分譲マンションにおいて日本最大となります。(2004年4月現在MRC調べ)
■ワールドシティータワーズ 建物概要
所在地 | : | 東京都港区港南4丁目14番1他 |
事業主体 | : | 住友不動産(株) |
設計/監理 | : | 清水建設(株)一級建築士事務所 |
施工者 | : | 清水建設(株)・(株)ピーエス三菱・西武建設(株)共同企業体 |
■開発者からの一言
シャープさんと共同で開発した本システムは、弊社の技術研究所だけではなく、設計部門など、シミズの総力を結集して開発してきました。空気中のイオンは減衰しやすく、色々なものに吸着しやすい性質があります。したがって、連続的に安定して、空気中のイオンをダクトで搬送するために、1年半以上の時間がかかりました。
空気中のイオンを、ダクトを通じて安定に搬送する技術は全く新しいものであり、今後、生産施設、医療施設、老健施設、宿泊施設などの分野に応用することが期待できます。お客様から、様々なご要望を頂き、本システムの進化を図って参ります。