2005.03.24

テクニカルニュース

防災・減災

免震性能がさらに進化しました!

当社は、専有空間を広く取れる上に、高い免震効果も得られる多層階免震構造「シミズデュアルレイヤーコア免震システム」を開発・実用化しました。超高層マンション「ル・サンク大崎シティタワー(東京・品川)」で初めて適用し、現在施工中です。

このシステムは、建物下層のピット断面を凹型の免震設置空間にして上部の逆凸型構造との間に免震装置を設置するものです。エレベーターや階段が入る建物中央の共用部周りのコアウォールが建物全体の剛性を高め、心棒のように働いて、通常の免震構造より免震性能が25%向上します。

今後は、この新しい免震システムを、高層マンションやオフィスビルに積極的にご提案していきます。


シミズ デュアルレイヤーコア
免震システムの概念図

●シミズデュアルレイヤーコア免震システムのメリット

  • 底部を免震装置で支えられたコアウォールが心棒のように働き、建物全体が一体となって動くことから、通常の免震構造より免震性能が25%ほど向上します。
  • 免震に必要な建物外周部の敷地を有効利用できます。また、エレベーター周りなど共用部の周囲も同様にすき間が不要で、専有面積の有効率が5%向上します。
  • コアウォールの採用で専有空間の柱が少なくなる他、免震装置や免震ピットにより、地下駐車場・機械室などからの振動や音が上層部へ伝わりにくくなるなど、快適な住環境の実現にも効果があります。

免震性能を25%アップする免震システム

シミズデュアルレイヤーコア免震システムでは、超高層RC造建物の1~2階間と、地下2階下部までを連続した凹型断面の免震ピット空間にし、その空間を利用しながら複数の免震装置を設置します(上部に22台、下部に12台)。


凹型免震ピットと複数の免震装置

剛強なコアウォールと、コアウォールから張り出したメガビーム(梁)で建物上部構造を支え、剛性を高める構造となっています。地震時には、免震装置に支持されたコアウォールが心棒のように働き、建物が一体となって動くことで通常の免震構造よりも免震性能が25%向上します。

建物下層の免震装置と免震ピットは、地震時の安全性を高めるだけではなく、地下駐車場や機械室などからの振動や音を上層階へ伝えにくくする効果もあり、快適な住環境の実現にも役立ちます。


コアウォールとメガビーム


限られた敷地を有効に活用

基礎に免震装置を設置する通常の免震構造は、建物外周部に免震のためのクリアランス(すき間)や大きな擁壁を必要としますが、中間階免震構造の一種であるこのシステムは、限られた敷地を有効に活用することができます。


通常の基礎免震構造


シミズデュアルレイヤーコア免震システム


専有部の有効率が5%向上

中間のフロアに免震装置を設置する従来の中間階免震構造は、地下部分の階段室やエレベーターシャフトなどは免震層から吊り下げる構造となっており、建物周囲と基礎との間に免震のためのクリアランスが必要となります。

このシステムは、コアウォールが最下階まで降りて免震装置で支えるため、免震のクリアランス(すき間)が不要となり、共用部面積を最小限に抑えることができます。「ル・サンク大崎シティタワー」の場合、専有部の有効率が約5%程度向上しました。

通常の中間階免震構造

シミズデュアルレイヤーコア免震システムでは
専有部の有効率が5%向上

■参考資料:超高層マンション「ル・サンク大崎シティタワー」工事概要

工事名称 大崎駅東口第3地区
第一種市街地再開発事業
2街区施設建築物新築工事
所在地 東京都品川区大崎一丁目32番4号他
構造・規模 鉄筋コンクリート造(免震構造) 
地下2階 地上27階 塔屋1階
工期 平成16年7月~平成19年2月
発注者 大崎駅東口第3地区市街地再開発組合
設計者 大崎駅東口第3地区
第一種市街地再開発事業
2街区施設建築物実施設計共同企業体
[清水建設(株)一級建築士事務所と(株)NIPPOコーポレーション一級建築士事務所の共同企業体]
施工者 清水・NIPPO 2街区施設
建築物新築工事共同企業体


完成予想パース