当社は、今年3月にグランドオープンした日本橋の新たなランドマーク「日本橋一丁目ビルディング」の建設にあたり、外壁の風切り音(空力音)による室内への騒音発生を防ぎつつ、優美なオリジナルデザインと静かな室内環境を実現しました。
今回施工した「日本橋一丁目ビルディング」の建築デザインでは、意匠性ばかりでなく、明るい室内と省エネを追求した結果、外装材としてアルミフィン(アルミ製の庇)が採用されています。しかし、風の通り道に取り付けられたこのフィンが「風切り音」を発生し、騒音源となる可能性があり、あらかじめ音実験を行うことで解決しました。
音実験で外部からの風切り音を測定し最適なディテールを決定
「日本橋一丁目ビルディング」では、建物正面外壁の優美な曲線を構成するアルミフィンと縦のリブガラスが、非常に印象的な建築デザインのポイントとなっています。
当社は、このデザインを実現する上で、外壁のカーテンウォールに取り付けられた多数のアルミフィンから発生する風切り音を実験により測定し、最適な断面形状と取り付け方法を決定しました。
実験では、まず5種類の実物大のアルミフィン(W230mm-L1200mm)を使用してそれぞれの風切り音を測定し、最も騒音の少ない断面形状を選定しました。さらに選定した断面形状のアルミフィンの「取り付方法」について音実験を行い、設計仕様書の評価基準をクリアするディテールを決定しました。
■採用にあたっての評価基準
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音実験・音解析によるお客様メリット
近年は、都市景観との調和からビル屋上の空調機やマンションの階段の目隠しとしてルーバー等が利用されていますが、これらが「風切り音」を発生し、思わぬ騒音源として問題となる場合があります。
また、郊外に建設される工場や研究施設などでは、周辺の静かな環境を維持するためにも計画段階から建物周辺への音による影響を考えることが重要です。
当社は、外壁ルーバーや手すりなどから風切り音が発生しないよう十分な検討を行い、室内への騒音低減だけではなく、事業者の方の地域への配慮もご支援します。
- 静かな室内空間の確保
建物外部からの風切り音を未然に防ぐことで、静かで快適な執務空間・居住空間を造ります。 - 建築デザインの検証
独自の解析技術とノウハウからお客様の計画を検証し、意図した建築デザインを実現します。 - 周辺環境への騒音配慮
郊外の工場などでは、建物から発生する騒音の防止は、周辺環境への騒音影響削減により、事業者の方の近隣対策として役立ちます。
工期短縮の実現
外壁アルミフィンの風切り音削減のための音実験以外に、工期短縮のための施工技術を最大限に取り入れ、全体で3ヶ月の工期短縮を実現しました。
●ツーステップ解体工法
旧建物の解体工事を2段階に分け、まず地下外壁を残して地下1階と地下2階、基礎中央部分をまず解体しました。建築確認前に本工事利用を兼ねた地中山留連続壁を構築し、基礎外周部分を解体することで、確認後の施工期間を短縮しました。
●2段打ち工法
解体・掘削工事終了後に建物の基礎となる底部の地下耐圧版コンクリートを打設、地下部分から鉄骨工事を開始し、3階床まで先行して施工しました。その後、地下工事と同時に地上では順時躯体を進め地上・地下の同時施工により工期を短縮しました。
●積層工法
外壁カーテンウォールを取り付けるためのコンクリート床部分を工場でプレキャスト化し、外壁仕上げを先行することで、現場での溶接工事・配筋作業などを大幅に削減し工期を短縮しました。また、外壁部材取り付用金具をプレキャスト工場で取り付けることで作業所での管理を簡単にし、高い精度で外壁を施工することができました。
【日本橋一丁目ビルディングの概要】
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