当社は、創業200年を迎え、さらなる事業発展を目指す最先端の研究開発拠点として「技術研究所新本館」を完成させました。新本館は、「都市再生対応」「安全・安心」「環境・省エネ」「情報化」など、時代のニーズに応える最新技術の実証の場となっています。各種技術については、モニタリングによるデータの蓄積や評価を行うとともに、成果を積極的に情報発信していきます。
今後は、都心型技術研究所のメリットを活かし、お客様とのコミュニケーション、産学官交流・連携、異業種とのコラボレーションを積極的に進め、社会が求めている技術を迅速かつ的確に開発する「開発広場」として、世界トップの建設エンジニアリング研究所を目指します。
■最新技術を実証する技術研究所新本館
最新技術の「実証の場」
今回のトピックスでは、新本館で採用した「都市再生対応」「安全・安心」に関する主な技術をご紹介します。
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都市再生対応
1.新構造システム
「独立柱柱頭免震構造」と「ケージ(鳥かご)状構造」を組み合わせた従来にはない新構造システムです。
独立柱の上部に免震装置を設け、その上に鳥かごのように外周に柱を配置した建物本体を載せた構造です。高い耐震安全性と同時に、内部に柱のない大空間を確保できます。
この構造は、既存の都市インフラに手を加えることなく、その上空の有効利用や、密集する都市部の高度利用を効率的・効果的に実現します。
▼新構造システムの概要図
2.スケルトンインフィル(SI)型建築物
柱のないシンプルな構造躯体(スケルトン)と高度にユニット化された内装・設備(インフィル)で構成されているため、建物の用途や時代の変化に対する高いフレキシビリティを実現し、建物の機能的な長寿命化がはかれます。
安全・安心
1.構造モニタリングシステム
新本館に「構造モニタリングシステム」を導入することによって安心できる空間を提供しています。「構造モニタリングシステム」は、建物の揺れをセンサーで常に監視し、得られたデータをインターネットを介してサーバーに蓄積・管理します。地震時などの構造体の変化を収集したデータを元に精度高く分析・評価し、安全性を早急に確認することができます。
- 加速度センサー(常時モニタリング):地震による建物の揺れ(加速度)を検知
- 変位センサー(常時モニタリング):免震ゴムの変形を検知
- 杭損傷検知センサー(オフラインモニタリング):確認が難しい杭の損傷を検知
▼モニタリングセンサーの配置
2.新防耐火システム
新本館では、3つの新しい防耐火システムを導入することにより、防耐火性能の向上と自由なオフィスレイアウトを両立しています。
●火災フェイズ管理型防災システム:
火災による煙や室内温度の上昇をリアルタイムに監視し、防火シャッターなど防火設備を最適に連動制御します。早期の避難誘導を可能にするとともに、火災場所を早期に限定することにより被害を最小限に抑えます。
●ドレンチャー水幕型防火区画システム:
天井に設置したドレンチャーからの放水により、水の幕で防火区画を形成して、火災からの熱を遮断し、延焼拡大を防ぎます。従来の防火シャッターなどに比べて、避難時の通行上の障害がないため安全性が高く、設置スペースが小さいため設計の自由度も高まります。
●新しい耐火設計概念・設計システム:
柱や梁などの「部材単位」ではなく、建物全体の骨組み(架構全体)で耐火性能を評価する新しい概念を適用します。建物全体の耐火性能を確保し、一部の部材が火災で損傷しても建物全体が崩壊することを防ぎます。
▼「ドレンチャー水幕型防火区画システム」