2002.12.11

テクニカルニュース

環境

シミズコンクリート資源循環システム~ゼロエミッションに向けて、リサイクル技術を確立~

 高度成長時代に建設され、老朽化した多くの鉄筋コンクリート造建物が、更新時期を迎えつつあります。今後、これらの建物は順次解体され、解体コンクリートが大量に発生することが予想されます。資源のリサイクルに対する社会的な関心が高まるなか、鉄筋コンクリート造の建物を解体することによって発生する「コンクリート塊(解体コンクリート)」の処理問題が懸念されています。

 現在解体コンクリートのリサイクルとして確立されている「路盤材としての再利用」だけでは処理できる量に限界があります。また、最終処分場も飽和状態になりつつあります。

解体コンクリート発生量予測グラフ
解体コンクリート発生量予測グラフ:2005年頃には、解体コンクリート量は路盤材の需要を超えると予測されています。

最終処分場の受け入れ容量予測グラフ
最終処分場の受け入れ容量予測グラフ:最終処分場は、2008年には飽和状態になると予測されています。

 こうした社会的背景から、鉄筋コンクリート造建物を多数建設してきた当社は、事業所や電力設備など、大型の鉄筋コンクリート造建物を多数所有される東京電力(株)様と共同で「コンクリート資源循環システム」を開発・実用化いたしました。

シミズコンクリート資源循環システムとは?

 シミズコンクリート資源循環システムは、解体工事で発生したコンクリート塊から、骨材(砂利と砂)と微粉末(主にセメント成分)に分離・再生。再生骨材は再び構造用のコンクリート骨材として、また微粉末はセメント原料や地盤改良材等に再利用することで、循環型社会の構築に貢献しています。

シミズコンクリート資源循環システムの概念図
シミズコンクリート資源循環システムの概念図

 この技術は当社技術研究所実験棟建設工事で実用化し、現在「東京団地倉庫建替え工事」「富士通蒲田新棟建築工事」の2件に採用されています。

 なお、開発・実用化にあたっては、北海道大学工学部 友澤史紀教授のご指導をいただいています。


コンクリート資源循環システムの採用事例(2002年12月9日現在)

東京団地倉庫(株) 平和島倉庫A-1棟建替え工事概要

平和島倉庫A-1棟建替え工事現場写真

解体した建物[(株)大林組と工区分けして解体]

建設地 東京都大田区
構 造 鉄筋コンクリート造
規 模 建築面積21,363m2、延床面積68,309m2、4階建て
建築年 1970年(昭和45年)

新築する建物

建設地 東京都大田区
構 造 鉄骨鉄筋コンクリート造
規 模 A-1棟 建築面積12,820m2、延床面積62,132m2、6階建て
工 期 2002年5月~2004年2月

富士通(株) 蒲田新棟工事概要

蒲田新棟工事現場写真

解体した建物

建設地 東京都大田区
構 造 A棟-鉄筋コンクリート造、B棟-鉄骨鉄筋コンクリート造
規 模 建築面積4,847m2、延床面積46,107m2
建築年 A棟-1970年(昭和45年)、B棟-1971、1975年(昭和46,50年)

新築する建物

建設地 東京都大田区
構 造 オフィス棟(中層)-鉄骨造、ソリューション棟(低層)-鉄骨造
規 模 建築面積11,016m2、延床面積51,401m2
工 期 2002年6月~2003年10月

清水建設(株) 技術研究所 音響実験棟

技術研究所 音響実験棟写真

解体した建物:東京電力旧技術研究所

建設地 東京都調布市
構 造 鉄筋コンクリート造
規 模 建築面積2,700m2、延床面積9,100m2、4階建て
建築年 1960年(昭和35年)

新築した建物:清水建設技術研究所 音響実験棟

建設地 東京都江東区
規 模 建築面積350m2、延床面積660m2、3階建て
工 期 2000年11月~2001年8月