高度成長時代に建設され、老朽化した多くの鉄筋コンクリート造建物が、更新時期を迎えつつあります。今後、これらの建物は順次解体され、解体コンクリートが大量に発生することが予想されます。資源のリサイクルに対する社会的な関心が高まるなか、鉄筋コンクリート造の建物を解体することによって発生する「コンクリート塊(解体コンクリート)」の処理問題が懸念されています。
現在解体コンクリートのリサイクルとして確立されている「路盤材としての再利用」だけでは処理できる量に限界があります。また、最終処分場も飽和状態になりつつあります。
こうした社会的背景から、鉄筋コンクリート造建物を多数建設してきた当社は、事業所や電力設備など、大型の鉄筋コンクリート造建物を多数所有される東京電力(株)様と共同で「コンクリート資源循環システム」を開発・実用化いたしました。
シミズコンクリート資源循環システムとは?
シミズコンクリート資源循環システムは、解体工事で発生したコンクリート塊から、骨材(砂利と砂)と微粉末(主にセメント成分)に分離・再生。再生骨材は再び構造用のコンクリート骨材として、また微粉末はセメント原料や地盤改良材等に再利用することで、循環型社会の構築に貢献しています。
この技術は当社技術研究所実験棟建設工事で実用化し、現在「東京団地倉庫建替え工事」「富士通蒲田新棟建築工事」の2件に採用されています。
なお、開発・実用化にあたっては、北海道大学工学部 友澤史紀教授のご指導をいただいています。
コンクリート資源循環システムの採用事例(2002年12月9日現在)
東京団地倉庫(株) 平和島倉庫A-1棟建替え工事概要
解体した建物[(株)大林組と工区分けして解体]
建設地 | : | 東京都大田区 |
構 造 | : | 鉄筋コンクリート造 |
規 模 | : | 建築面積21,363m2、延床面積68,309m2、4階建て |
建築年 | : | 1970年(昭和45年) |
新築する建物
建設地 | : | 東京都大田区 |
構 造 | : | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
規 模 | : | A-1棟 建築面積12,820m2、延床面積62,132m2、6階建て |
工 期 | : | 2002年5月~2004年2月 |
富士通(株) 蒲田新棟工事概要
解体した建物
建設地 | : | 東京都大田区 |
構 造 | : | A棟-鉄筋コンクリート造、B棟-鉄骨鉄筋コンクリート造 |
規 模 | : | 建築面積4,847m2、延床面積46,107m2 |
建築年 | : | A棟-1970年(昭和45年)、B棟-1971、1975年(昭和46,50年) |
新築する建物
建設地 | : | 東京都大田区 |
構 造 | : | オフィス棟(中層)-鉄骨造、ソリューション棟(低層)-鉄骨造 |
規 模 | : | 建築面積11,016m2、延床面積51,401m2 |
工 期 | : | 2002年6月~2003年10月 |
清水建設(株) 技術研究所 音響実験棟
解体した建物:東京電力旧技術研究所
建設地 | : | 東京都調布市 |
構 造 | : | 鉄筋コンクリート造 |
規 模 | : | 建築面積2,700m2、延床面積9,100m2、4階建て |
建築年 | : | 1960年(昭和35年) |
新築した建物:清水建設技術研究所 音響実験棟
建設地 | : | 東京都江東区 |
規 模 | : | 建築面積350m2、延床面積660m2、3階建て |
工 期 | : | 2000年11月~2001年8月 |